ナルバンディアン、2005年マスターズカップ

このタイトルで、一瞬で当時を思い出せる人も多いでしょう。
それくらい印象的な試合でした。
2005年シーズン最終戦、マスターズカップ上海。


 

2005年

この年はフェデラーナダルによる「2強時代」の始まりです。
2人はマスターズカップまでに、グランドスラムを含め年間なんと11勝。
マスターズシリーズも共に年間4勝。
マスターズ年間4勝自体、史上初めてのことを2人同時に。
それでもやはり"王者"フェデラーであって、
「誰がフェデラーを倒すのか?」これは2004年から変わりません。

ナルバンディアンは年間2勝。
グランドスラム3大会でベスト8。デ杯は4戦して全勝。
マスターズシリーズは早期敗退が多く、
マスターズカップの出場を決めるランキングでは第11位でした。


欠場選手

終戦というと気になるのが出場選手ですが、
まず大会開幕前に欠場表明したのがサフィンとヒューイット。
2人はこの年の全豪決勝カードであり、共にグランドスラム2勝、20歳で世界ランキング1位になった者同士。

次に発表があったのがロディック
直前のパリマスターズでは準決勝進出という好成績でしたが、その時すでに怪我の影響は表れてました。この年ウィンブルドンでは準優勝。
ロディックグランドスラム優勝経験者で、元世界ランキング1位。

大会が始まってラウンドロビン2日目。
コートにデニム姿で現れたナダルが欠場を発表。
この年、19歳で全仏優勝など素晴らしいシーズンでしたが、
初めてのマスターズカップ出場は叶いませんでした。

同じ日、第1試合を戦ったアガシが欠場を発表。
15年も前、1990年この大会のチャンピオンは1試合のみのプレーとなってしまいました。
この年はツアー60勝目を達成。全米では準優勝。


出場選手

このようにして最終的に大会に出場した選手たちとランキングはこちら。
またフェデラーも怪我の影響がかなりあり、試合には常にサポーターをつけてました。
フェデラー(1位)
コリア(6位)
ダビデンコ(7位)
ルビチッチ(8位) ←サフィン(10位)の代役
ガウディオ(9位) ←ヒューイット(3位)の代役
ナルバンディアン(11位) ←ロディック(4位)の代役
プエルタ(12位) ←ナダル(2位)の代役
ゴンザレス(13位) ←アガシ(5位)の代役

レッドグループ
フェデラー、ナルバンディアン、コリアの同世代でマスターズカップ連続出場組。
ルビチッチは直近5大会のうち4つで決勝進出。大会開幕前、最も注目されていたのは間違いなくルビチッチです。

ゴールドグループ
自力で出場権を得た唯一の選手、全仏ベスト4のダビデンコ。
唯一のグランドスラム優勝経験者、前年全仏優勝のガウディオ。
今年ツアー優勝あり、全仏準優勝のプエルタ。
ツアー最速のフォアハンドをもつゴンザレス。
ロシアのエースと、南米屈指のストローカー3人となります。

決勝

出場選手が異例の展開にはなりましたが、それでもやっぱり連日激しい試合内容。
ラウンドロビンフェデラーはすべてでフルセットマッチ。
ランキング12位プエルタと13位ゴンザレスの試合だってさすが2人の打ち合い。
結局準決勝進出2人目はどちらのラウンドロビンでも、最後の試合までわかりませんでした。
勝戦は、この大会オープニングマッチの2人が再戦。
フェデラーvナルバンディアン。

決勝を前にしてフェデラーのかかる記録が凄かった。
マッチ35連勝中
ハードコート44連勝中(歴代単独1位)
決勝24連勝中(歴代単独1位)
マスターズカップマッチ14連勝中(歴代単独2位)
今シーズン優勝11回(1位タイ)
1シーズン年間勝率96.4%(歴代単独2位)
特に、「1シーズン年間勝率」の1位タイ記録まであと1勝。
それが"シーズン最後の試合で"というのも大注目でした。

ナルバンディアンも決勝戦の結果に関わらず、3年連続でトップ10が確定。
優勝すると自身初のビッグタイトル。ランキングは6位にまで上昇。
アルゼンチン勢の優勝となると1974年ビラス以来、31年ぶり。
第8シードでの優勝はこの大会史上初。
ここまでの勝ち上がりは初日フェデラーに惜敗。以降3試合は素晴らしい内容。
サーフェス、コンディション、対戦成績等考えるとチャンスもあり、
欠場したロディックサフィンナダルよりも、
王者を倒す最有力な選手こそナルバンディアンだったと言えるかもしれません。


D.ナルバンディアン

1998年全米ジュニア決勝ではフェデラーに勝ち優勝。
1999年全仏ジュニア決勝ではコリアに敗れ準優勝。
プロ転向後の2002年。芝の大会自体初出場となるウィンブルドンではなんと準優勝。
2003年全米でもロディックとのフルセットの熱戦がありベスト4。
2004年全仏は優勝したガウディオに敗れベスト4。
2006年全豪と全仏でベスト4。デ杯でも準優勝。
この年にキャリアハイの3位を決めています。
2007年、あの"同一大会でランキングトップ3に勝利"してのマドリードマスターズ優勝。

世界ランキングはキャリアを通してほとんどトップ100。
自己最高は「フェデラーナダル2強時代」に記録した3位。
グランドスラムすべてで準決勝以上を経験というのは、
歴代の選手で見ても数少ない好成績です。


武器はもちろん両手バックハンド。
2000年代初頭、男子テニス界がストローカー中心へと変わっていき、
中でもアガシ、クエルテン、ヒューイット、サフィンなどは抜きんでていました。
その彼ら元ナンバー1を含めても、
ナルバンディアンのバックハンドは勝るとも劣らないクオリティー
アルゼンチンの選手ならではのストロークの安定感に加えて、あのバックハンド。
「フォアもバックも強い、ハードもクレーも戦えてインドアだと尚強い」

フェデラーとの対戦成績は8勝11敗。
はじめの5連勝がよく取り上げられがちですが、
フェデラーが1位になって以降も3勝をあげています(すべて決勝)。

アルゼンチンといえばテニス強豪国です。
その中でも、記録にも記憶にも残る選手の1人がこのナルバンディアン。
2013年の現役引退後はモータースポーツへ転身したようで、またキツマノビッチのコーチの時期もありました。

『Roger Federer vs David Nalbandian Epic ROLLERCOASTER Final | ATP Finals 2005 Extended Highlights』(25:49)

www.youtube.com



『When David Nalbandian Beat the Big 3 ALL IN A ROW at Madrid 2007!』(9:42)

www.youtube.com



『Former World No. 3 David Nalbandian Mic'd Up With Miomir Kecmanovic』(5:47)

www.youtube.com