審判のミス、選手らは?

今週はモンテカルロマスターズ。
この大会、サーフェスはクレー。チャレンジはありません。
準決勝第1試合はチチパスvシナーの好カード。
試合はファイナルセットまでもつれました。

 

ファイナルセットの第1ゲーム、オーバールール

シナーのショットを線審アウトのコール、そこを主審が覆しイン。
このときチチバスはシナーのショットに触ってネットにかけていますが、
ポイントのやり直しではなくシナーのポイントになりました。
その理由は、「線審アウトのコールが、ポイントへの影響があったか、否か」
つまりチチバスのネットに影響があったか否か、だそう。
そこを主審の判断で「ポイントへの影響はなかった」ということです。
兎に角選手には、ボールを打ち返す必要性が増します。
(このゲームはシナーのブレークとなりました。)



第5ゲーム、線審の判定ミス

場面はシナーのブレークポイント
チチパスのセカンドサービス。インの判定、からのチチパスのポイント。
けれどシナーはセカンドサービスがフォールトだと主張。
すぐにテレビ用の映像でCGが出され、そこにはシナーの主張通りフォールト。
つまりチチパスはダブルフォールトでした。
しかしポイントはチチパスのまま。
このポイントをやり直すためには、シナーはポイントを止める必要がありました。
仮にこのポイント、正しくチチパスのダブルフォールト、シナーがとっていれば、
ゲームカウントはシナーの4-1と大きく差を広げます。
(このゲームはチチパスのキープとなりました。)

 


news.tennis365.net



選手への説明・要求

「ボールを打ち返しておかなければならないとき」と、
「ポイントを止めなければならないとき」が混在する状況が、プロの試合です。
これはルールなので審判側は適宜、選手に
「今のはボールを返しておいたらよかったんだよ。」
「今のはボールを止めなければならないよ。」と説明します。
確かにルールなんですけど、
人間にはあまりにも無理なことを要求されてる気がしますね。

 

でももちろん「ルール」は絶対です。
テニス、スポーツ、いやそれ以外でも、
ルールありきでほとんどのことが決まるし、そうでなければ困ります。
選手が審判に食い下がるのも、審判が選手に説明するのも、ルールの範囲内。
選手が過度に反応して失格となるのも、ルールの範囲内。
そのルールを本気で変えたいのならば、公式なルートで自ら動くしかありません。
これもテニス、テニス以外でもそう。

審判側のミスについて解説の近藤大生さんは、

「人間がすることなのでミスも出てきます。」

「審判側のミス、誤審があったりなかったりの不平等さを選手は感じ、

それによってプレーへのストレスにもなる。」とコメント。

言っていることはわかります。そりゃそう。加えて、
「選手側以外の要因で、プレーのストレスが生まれる」とも
しっかり容認してるわけです。
またテニス界隈では昔から、
「"審判が絶対"過ぎる」と、選手側からの批判をよく聞きます。
"人間ですから"審判の誤審は100%なかった、とはならないですし、
実際選手はそれを本当に感じることがよくあるのでしょう。
ファンとしては悲しくなるばかりですが、どうしても思う"問題点"があります。

 

 

問題点

"昔から"という意味では、「テニス選手のラケット投げる件」もついて回る話題です。
大体そのときは、選手は警告を受けます。
大体放送席のリアクションでも、選手を(擁護しつつも?)批判します。

私は毎回思う。

「選手だって人間だ。

プレーのミス同様、いやそれ以上に感情のコントロールの方が難しい。
"テニスはメンタルのスポーツ"と、昔から、ほとんどの解説者が言ってきた。
ギリギリで戦う中ポイントに直結する、繊細な部分。そのメンタルが壊れてしまって、
警告まで受けて、それでも戦う。
こっちの方がハードだし、人間らしさが出る。それに加えて孤独な選手たち。
けど、審判のミスは人間らしくて、選手のミスは批判する、それが解説かぁ。

視聴者へ生ぬるいコメントするなら、解説はいらない。解説者は"解説"をしてくれ。
選手がラケット投げた時こそ、テニス解説の絶好の機会。仕事するときだぞ。」

 

線審がいなくなる

tennismagazine.jp

 

この記事によると、来シーズンからATPの大会すべてで、
エレクトリックラインコール(自動線審)とする方針だそう。
これは選手側のほとんどで、ポジティブなリアクションが出てきそうです。
因みにこの自動線審への不満の声もあるようで、
その理由の大体が「人間らしさがなくなる」といった趣旨。
「ネットを挟んで戦ってる選手たち以外でも、人間らしさを感じたいのね。」と私は思うが。

また「線審」と聞くと日本人の鶴淵志乃さんが思い浮かびます。
2009年全米準決勝。キムvセレナでの一件はかなり印象的。
2014年ATPファイナルズ。錦織が初出場したときにも務めていました。
国際大会、いろんな会場で、長いこと線審を務めている方です。

 

 

チャレンジシステム

このシステムを私が初めて聞いたのは2005年のことです。
鍋島アナウンサーと辻野隆三さんによる会話でした。
お2人とも、そして私も「そんなことできるんだ?」と思ってましたし、
翌2006年から早速導入されます。
「ルール」として新たに加わったこのチャレンジシステム。
もちろんチャレンジならではの話題やシーンはいくつも生まれました。
現役引退をしていた選手が久しぶりにコートに戻ってきたとき、
「チャレンジをやってみたかったんだよ。」という一言もあったり。
このチャレンジがまさかなくなるとは。

あとですね、昔から思うのですが。
先述のようにテレビ向けにCGが流れるあれ。あれってどうなんでしょう。
CGとはいえ白黒ハッキリわかるという意義はわかりますが、
わかったところで何も変わりません。
返ってまたモヤモヤする人も多くいるでしょう。だから出さなくてもよくない?って思う。

 

最後に、こちらも今大会。
2回戦メドベージェフvモンフィスでの1シーン。